酒のためならどこへでも!
東海オンエアゆめまるの「のんべえ日記。」第5話

人気動画クリエイター・東海オンエアのゆめまるさんが酒の魅力を追い求め、西へ東へ駆けまわる酒連載。今回は、“のんべえの聖地”ともいわれる神奈川県横浜市・野毛で気ままなハシゴ酒! 地元で愛され続ける居酒屋から、通なマスターがいるホッピー専門店まで、野毛だからこそ味わえるディープな飲み旅をたっぷり堪能します。

撮影/古根可南子 文/藤村実里、石川葵

▶▶▶第5話―“のんべえの聖地”野毛でディープなハシゴ酒―

「実は僕、昨日も野毛で飲んでたんです……」
 
前回、「のんべえ日記。」第4話で野毛にある国産酒専門バーに訪れ、クラフトスピリッツをたっぷりと堪能したのち、急に思わぬ告白をしてくれたゆめまるさん。実はこのロケの前日、深夜まで飲み明かしていたんだそう。それもそのはず、実はここ「野毛」は、ゆめまるさんが半年に一度は訪れるほど愛して止まない、お気に入りの場所。まさに、“のんべえ”お墨付きの街なのです。

独特の魅力がある街・野毛

そもそも野毛とは、日本で最初の鉄道が開通した頃に初代横浜駅(現・桜木町駅)の目の前、駅前の繁華街として栄えた場所。野毛町、宮川町、そして花咲町の一部を含むエリアのことを指し、終戦直後は「闇市」として賑わっていました。昭和ノスタルジックな趣のある街並みの中には、個性豊かな飲食店が軒を連ね、“昼飲み”という独特の文化も根付いています。

第4話でクラフトスピリッツの魅力についてしっかりと学んだあと、大好きな街だし、せっかくだからもう少し野毛を満喫したい! ということで、野毛散策をすることに。ゆめまるさんもまだ知らない“ディープな飲み処”を探しに……いざ、出発です。

沼にハマる!? 旨すぎる野毛グルメに遭遇

野毛を代表するグルメ通り「野毛小路」を歩いていると、なにやらおいしそうな香りが。その匂いに誘われて辿り着いたのは、横浜・野毛が発祥の居酒屋「もつしげ」です。

「もつしげ 野毛小路店」は、2008年にオープンした人気居酒屋。連日行列ができるその理由は、鮮度抜群の刺し物と名物のもつ煮込みを求めてくる人が多いからなんだとか。
 
早速、店内へ……店長の大西さんが明るい笑顔で出迎えてくれました。

店長)いらっしゃいませ~!
 
ゆめまる)こんにちは! 早速注文しちゃおうかな……おすすめドリンクはなんですか?
 
店長)「本気で仕込んだレモンサワー(550円)」、「めちゃ梅干し入ったカリカリ梅サワー(550円)」、「抹茶入り玄米緑茶割り(430円)」がうちのイチオシです。
 
ゆめまる)じゃあまず、レモンサワーお願いします!

「本気で仕込んだレモンサワー」×「塩煮込み」

店長からおすすめを教えてもらいつつ、ほぼ100%のお客さんが頼むという、もつしげ名物の「塩煮込み(530円)」も注文。
 
ゆめまる)おぉ、おいしそう!
 
店長)この塩もつ煮込みは、4時間かけて丁寧に下処理したもつと秘伝のスープで煮込んだクセのない味が特徴です。
 
ゆめまる)いいっすね~。では、いただきます。

ゆめまる)レモンサワー、うめ~! 溢れんばかりのレモンに、しっかりとした味わい、そしてこの爽やかさ……本気で仕込んできたな、って感じです(笑) 塩もつ煮込みも、出汁がすんごい。全然もつのくさみがないですね。もつ煮込みってこってりなイメージがあったんだけど、これは塩味がさっぱりしていて、どんどん箸が進んじゃう。
 
店長)ありがとうございます。時間が経つごとに鍋の中で旨味も増してくるので、味わいも変化するんですよ。ちなみに「辛だれ」をほんの少しつけて食べると、味が一気に変わって、2度おいしいです。

ゆめまる)どれどれ……。

ゆめまる)おおぉ! 顔変えてくるな~! 味にさらに深みが出ますね。うん、もうこれは“沼”です。煮込みの沼。出れないっす。

「めちゃ梅干し入ったカリカリ梅サワー」×「牛コールドレアステーキ」&「新鮮レバテキ」

あっという間に1杯目を飲み干したゆめまるさん。2杯目は「めちゃ梅干し入ったカリカリ梅サワー(550円)」を注文しました。
 
ゆめまる)あら~、自家製ソースがいい風味を作り出してますね。なんだか懐かしい駄菓子のような感じ。

店長)うちは、鮮度がウリの刺し物も人気が高いですよ。「牛コールドレアステーキ(570円)」と「新鮮レバテキ(570円)」は、ほかでは滅多に手に入らない鮮度抜群のお肉を使ったメニューです。梅サワーとの相性も良いので、ぜひ!

ゆめまる)レバテキ、うまーーー! 歯ごたえがあって、新鮮さも感じます。ごま油と塩、ニンニクが効いていて、酒が止まらなくなるやつ。牛のレアステーキも肉自体の旨味がしっかり出ていて存在感ありますね~。
 
店長)この2つのメニューは本当に人気で、品切れになってしまうこともよくあります。
 
ゆめまる)じゃあこれ、食べたい人は品切れになる前に早く来なくちゃですね。野毛で“昼飲み”が根付いている理由って、早く来ないと人気メニューが品切れになってしまう「もつしげ」さんのせいじゃないですか!?(笑)

気さくな店長とのおしゃべりも楽しみつつ、ラストは串もので人気の「つくね(190円)」をいただくことに。

店長)えっと、これも人気メニューです(笑) つくねを串から外して、ピーマンの上に乗せて一緒に食べていただくのが、おすすめの食べ方となっています。

ゆめまる)うま! つくねとピーマンの相性が素晴らしいですね。おいしくてあっという間に食べ終わりましたよ(笑) ますます虜です……。
 
「もつしげ」ならではの食のこだわりに触れ、野毛の飲み旅を満喫するゆめまるさん。ディープなハシゴ酒はまだまだ! 次なる酒場へ向かいます。

▶本日の酒場①「もつしげ 野毛小路店」

横浜・野毛発祥の居酒屋で、現在では神奈川、東京に9店舗を構えています。姉妹店には地元の人気焼肉店「焼肉 天龍」があり、鮮度抜群の肉が提供できるのはその理由から。看板メニューの「塩もつ煮こみ」は毎日店内で丁寧に仕込まれ、この味を求めて足しげく通う常連も多い一品。そのほか、刺し物(430円~)や串焼(120円~)、レバーパテや味噌牛タンなどの逸品メニュー(140円~)も豊富です。
 
店名/もつしげ 野毛小路店
住所/神奈川県横浜市中区野毛1-41-3 31ビル 1F
電話番号/045-262-0298
営業時間/15:00~23:30※土曜日は14:00~23:30、日・祝日は14:00~23:00
定休日/無休

野毛の人情に触れる、究極のホッピー専門店

ここ、野毛では、ハシゴ酒が定番の飲み方。お酒1~2杯とその店の名物を楽しみつつ、数軒をハシゴするのが通のお作法です。

飲み場所に困らないくらい、野毛は居酒屋やバーがたくさん! そんななかグングン繁華街を進んで行くと、ディープさがいっそう増すスポットを発見しました。

野毛の超ディープスポットとして知られる川沿いの「都橋商店街」。2階建の建物の中には、小さなお店が60店舗ほどひしめき合っています。なかでも、長年愛されているのが「ホッピー仙人」。“仙人”と呼ばれる店主が、会社員だった当時、ホッピー好きが高じてオープンさせたお店です。現在はお店に専念しており、野毛の街で19年も愛され続けているんだとか。店内には長年通う常連さんが、「黒!」「白!」と次々にオーダーしています。次なる酒場は、ここに決定。

ハートマーク入りの「生ホッピー」

ゆめまる)こんばんは〜。わ、すごい賑わってますね!
 
仙人)どうぞどうぞ、さぁ奥へ。あ、ここでは僕のこと“仙人”って呼んでくださいね。
 
ゆめまる)仙人! 僕、普段あんまりホッピーって飲まないんですけど、なにか頼み方とかってあるんですか?
 
仙人)基本のホッピーは「白」か「黒」です。白は普通のビールのような味わいで、黒は黒ビールのような味わい。まぁ、とりあえず「白」を飲んでみてください。
 
「ホッピー仙人」では、サーバーから注ぐ、生ホッピー(白黒ともに500円)が楽しめます。長年にわたるホッピーへの探究心が詰まった“究極の一杯”は、「普通のホッピーとはひと味違う」と常連たちが語るほど。

ゆめまる)くぅ~! 僕のイメージと違うホッピーですね。飲みやすくて、ゴクゴクいけちゃいます。
 
仙人)ホッピーは、ホッピービバレッジが1948年に発売したビールテイストの炭酸飲料で、焼酎をこれで割った飲み物もホッピーって呼ぶんですよ。うちでは、キンミヤの焼酎を入れています。
 
ゆめまる)そうなんですね。キンミヤ焼酎は以前、「のんべえ日記。」で三重に訪れたときに本場で飲みました! おいしいですよね~。まさかここでも出合えるとは……縁を感じます(笑)
 
仙人)ちなみに、女性にホッピーを提供するときは、泡の上にハートマークを書いてあげるんです。

新しくお客さんが入店した際も、飲み始める度にお店にいるみんなで乾杯をするのが、ここならでは。泡に書いたハートマークから会話が生まれたり、お酒を通して自然と仲良くなれるのも、酒の街・野毛の楽しみ方かもしれません。

泡が止まらない「トルコサワー」

常連客との野毛トークを楽しんでいると、ここで仙人が“おもしろいもの”を出してくれました。

仙人)これ、「トルコサワー(700円)」っていうんだけど、入っているものはシソサワーとホッピーの白、それとキンミヤです。見ていてください、ちょっと待っていると……。

ゆめまる)お!? すごい、なんかいきなり泡がモコモコしてきた!
 
仙人)そうなんです。泡がどんどんどんどん出てくるんです。
 
ゆめまる)すげー! なんですか、これ!
 
仙人)それが、僕もよくわかんないんだよね(笑) この3つを掛け合わせると、泡が突然溢れてきて1cmくらいの高さに成長する。ほかのサワーで試したら泡が出るものと出ないものがあって。偶然の産物かな……。そんなことはさておき、さぁ、泡の部分をぜひ食べてみてください。
 
ゆめまる)なるほど、泡を楽しむものなんですね。おもしろい! (パクッ)……おぉ、泡、ふわっふわ! 味はシソ感が強いですね。こりゃ、うまい。

ゆめまる)目でも楽しめるホッピーなんてはじめてです。さすが野毛、奥が深いな~。なんだかエンターテインメントを感じました!
 
お酒を“楽しむ”仙人の人柄が表れた一杯。入りづらいと思うなかれ、一歩足を踏み入れてみると、気さくな店主と温かい常連さんが出迎えてくれます。そんな人情溢れる酒場があるのも、やはり野毛の魅力なのかもしれません。

▶本日の酒場②「ホッピー仙人」

都橋商店街の2階に店を構えるホッピー専門店。“仙人”と呼ばれる店主はホッピー好きが高じて、会社員のかたわら、お店を始めたという生粋のホッピー通。生サーバーから注ぐ、こだわり抜いたホッピーはこの店でしか味わえない一杯として人気です。メニューは、ホッピー(白黒ともに500円)やハーフホッピー(800円)、レモンサワーの黒ホッピー割(800円)、トルコサワー(700円)など、ホッピーをベースにしたお酒が楽しめます。
 
店名/ホッピー仙人
住所/横浜市中区宮川町1-1-214 都橋商店街 2F
電話番号/045-242-1731
営業時間/19:00~22:00
定休日/日曜日、仙人が告知した日(Twitter参照)

「飲み旅本。」のロケって、僕のプライベートを見せている感じなんです(笑)

―ゆめまるさん、今回の野毛のハシゴ酒いかがでしたか?
 
野毛はほんと、踏み込むほどにおもしろい街ですね。知れば知るほど、新たな魅力の発見が必ずあります。それに昼間っから飲んでいる人も多いので、この人たちっていつからいるんだろう? 一体なにしている人たちなんだろう……って、人に対しての興味も湧いてくる(笑) あまりに昼飲みしている人が多くて、不思議な気持ちになるんだよね~。
 
―愛知には、野毛のようなディープな飲みスポットはありますか?
 
「今池」というエリアは、だいぶディープですね。でも雰囲気はちょっと違うかな。野毛みたいなところ、ないかもしれないですね。そうそう、最近、地元で飲むときに決めているルールがあるんですけど、「1軒のお店で最大1.5時間、3杯までしか飲んじゃダメ」っていう、僕が決めたルール。お店に入ったらまず仲間たちとそのルールのおさらいをします(笑) そうすることで色々なお店に行けるし、ダラダラしたりグダったりすることもないから有意義に過ごせますよ。軒数を重ねていくごとにテンション感も変わってきて、いちいち新鮮な気持ちで飲めるしおすすめ! でも最後の方とかはもうわけわからなくなって、ルールなんて関係なくなってくる(笑)
 
―「のんべえ日記。」連載も、もう5回目。今後どんな飲み旅がしたいですか?
 
さまざまな飲みスポットを巡って、色んな酒体験をして……「のんべえ日記。」って本当に楽しいですよね(笑) その土地ならではのお酒や人、景色との出合いがあったり、知らなかったお酒の知識を教えてもらったり、経験値が上がっている感じです。第3話では、ゲストでメンバーの虫さん(虫眼鏡)が来てくれて一緒に三重の飲み旅をして、ものすごく楽しかったので、また同年代のお酒好きな人と一緒に巡る旅とかしたいですね! あとは、新潟県とか石川県あたりで、日本酒の奥深い楽しみ方を知る旅とか。それにしても、「飲み旅本。」のロケって本当に仕事感がまったくなくって、僕のプライベートを見せている感じなんですよ。あ、仕事感ないとか言ったらダメか(笑) でも、ほんっとーーーーにいつも“素”の状態で、僕らしさを一番表現できている場所です。だから逆に聞きたいと思っていたんですけど……僕、いつも大丈夫ですか?(笑)

お気に入りの街で新たな酒の魅力を発見し、野毛飲みがもっと好きになったと語るゆめまるさん。次回はどんな飲み旅が待っているのでしょうか。「のんべえ日記。」第6話もお楽しみに!
 
まだ見ぬ酒体験を探しに……次はあなたの町を訪れるかも。

\のんべえ日記(4話&5話)の撮影オフショットをチラ見せ!/

PROFILE

ゆめまる / 東海オンエア

愛知県岡崎市を拠点に活動する6人組動画クリエイター「東海オンエア」のメンバー。てつや、しばゆー、りょう、としみつ、ゆめまる、虫眼鏡からなるグループ。個性溢れるネタ動画を中心にさまざまなジャンルの動画を投稿し、人気を集める。2016年には「岡崎観光伝道師」に任命されるなど活動の幅を広げている。また、ゆめまるは2020年に自身のアパレルブランド「Bark at the Moon」も立ち上げた。メンバーの中ではかなりのお酒好きとして知られている。

東海オンエアゆめまるの「のんべえ日記。」第6話
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