酒のためならどこへでも!
東海オンエアゆめまるの「のんべえ日記。」第6話

人気動画クリエイター・東海オンエアのゆめまるさんが酒の魅力を追い求め、西へ東へ駆けまわる酒連載。今回はこれまでの旅とはガラッと印象を変えて、古都の魅力があふれる奈良の宿でおこもりステイを体験します。酒蔵を1棟まるごと宿に改装したという「NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち」で、こんな時だからこそ新しい発見がある“のんべえならでは”の飲み旅へ。

編集/石川葵 撮影/古根可南子 文/藤村実里(ホワイトノート)

▶▶▶第6話―“泊まれる酒蔵”でおこもりのんべえ旅―

かつての酒蔵が宿として生まれ変わった!?

数百年も昔から残る伝統的な街並みや寺院、神社、公園など人気観光スポットも多い奈良。そんななかでも注目を集めているのが、近鉄奈良駅の南に広がる「ならまちエリア」です。江戸時代の街並みが今でも残り、最近では古民家を利用したカフェや雑貨店などが増えて、新たな名所として若い人が集まっているんだとか。
 
その注目エリアでひと際存在感を放つのが、かつての酒蔵を一棟まるごと改装して宿にしたという「NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち」。近鉄奈良駅から徒歩8分ほど、大通りを1本入った路地に歴史を感じる建物が現れます。

ゆめまる)このご時世なのであちこち飲み歩くのは難しいですが、新しい飲み旅のカタチを模索していきたいところですよね。「NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち」って、“もと酒蔵”なんですよね!? 興味津々です。今回は存分におこもりステイを楽しみたいと思います。それでは、お邪魔しま~す!

ここは明治創業の地元の蔵元「豊澤酒造」が、かつて酒蔵として使用していた建物をリノベーションして2018年に開業した宿。当時の蔵の趣をそのまま残し、酒米を貯蔵していた米蔵や内蔵、創業家の母屋など伝統ある建物を引き継ぐ形で宿として生まれ変わりました。周辺は春日山から流れる伏流水が通り、水脈に沿って蔵元が多く立ち並んでいた場所なんだそう。

ゆめまる)たしかに、酒蔵だったっていう雰囲気ありますわ! 入り口に酒造りの象徴でもある「杉玉」も吊るしてあって、リアルな酒蔵の中に泊まれちゃうような感覚。実際に使われていた空間だからこそですよね。味があります。

のんべえのためのサービスが盛り沢山

客室は全8室、すべて異なる間取りとなっていて客室の名前には十干の「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛」が用いられています。今回は、スタイリッシュでモダンな雰囲気が広がる「甲(きのえ)」でおこもりステイすることに! 滞在中はゆっくりとした空間で過ごしてほしいという思いから、客室にはテレビや時計を置かないというこだわりも。「当時の趣を残した部屋の雰囲気をたっぷり感じてもらって、暇になったらちょっと外に出て宿の周辺をぐるりと散歩して奈良の町並みに浸ってもらいたいです」と、支配人の井上さんが宿での過ごし方を教えてくれました。ひとりでしっぽりとお酒に酔いしれたり、または大切な人とゆっくりお酒を嗜みつつお喋りを楽しんだり、まさにおこもりステイにもってこいのスポットとなっています。
 
ワクワクが止まらないゆめまるさん。早速、おこもりのんべえ旅スタート!

ゆめまる)わー、縁側がある! 風情がありますねぇ。僕、前にのんべえ日記で虫さん(東海オンエアのメンバー・虫眼鏡さん)と行った三重の旅で、今度行くなら「和な酒スポットが気になる」って言っていたんですけど、まさに望んでいたシチュエーションです。ひとり旅ってなかなかしないけど、これなら気兼ねなく寛げそう。おまけに“もと酒蔵”ということで日本酒にまつわるサービスも充実しているときたら、これはもうのんべえにはたまらないっすね。
 
早くうまい酒を飲みたい! と言わんばかりに、早々と浴衣に着替えて準備万端。まずは、客室にあらかじめ備え付けられている日本酒を楽しむことに。

ゆめまる)お~! 部屋に日本酒が揃っているって……どんだけのんべえに優しいんですか!(笑) どれどれ、4種もあるのか。どれにしようか迷うなぁ……ミニバーって感じでなんか楽しいですね。僕、最近めっきり外に飲みに行けていなかったので、久しぶりの日本酒……まじで嬉しいっす。

客室にある日本酒は常時4種、すべて地元・奈良の酒蔵「豊澤酒造」のもの(開封した日本酒は、チェックアウト時に申告して精算)。今回は、すっきりとした味わいが特徴の「無上盃(むしょうはい)」を味わいます。「この上ない酒に出会えたら命名しようと思っていた」と語られた日本酒で、発売するやいなや当蔵を代表する人気銘柄になった日本酒です。

ゆめまる)ルーツである豊澤酒造さんの創業地で、かつてここで造られていた日本酒を味わえるなんて……まさに飲み旅の贅沢さを感じますよね。(「無上盃」をひと口飲んで)……うまいっ! キリリとしていて、後味もすっきり。とっても飲みやすいです。奈良って、僕のイメージではあまり酒の印象がなかったんですけど、聞いてみたら結構酒蔵が多いみたいですね。日本ではじめてお米を使った酒造りが始まったのも奈良だってさっき教えてもらいました。「無上盃」は、お米のおいしさと水の豊かさを感じる味です。まさに「この上無い盃の一杯(無上盃)」!!!!(ドヤ顔) この日本酒がこの場所で造られていたんだと思うと、いろんな歴史を感じて、味わいもまた変わってきます。

酒をさらにおいしくする日本酒のためのつまみ

「NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち」では、日本酒に合うおつまみを同施設内にあるレストラン「ルアン」からオーダーして客室内でいただくことができます。

“日本酒を楽しむための料理”というレストランのコンセプトのもと作られた、おつまみ盛り合わせ(1人前2,420円)。季節によって内容は異なりますが、今回のメニューは右から時計回りに「奈良漬クリームチーズ」、「ぶりのコンフィ」、「吉野杉の燻製ナッツ」。日本酒をさらにおいしくしてくれる粋なサービスは、まさに泊まれる酒蔵ならではです。

ゆめまる)部屋でお酒を飲んでいると、ちょっとつまみたいなって時あるじゃないですか。そんなときに最適なサービスですよね。しかもこんな本格的なおつまみがつまめるって嬉しすぎる! 奈良の食材がたくさん使われているとのことで、旅感も増しますね。「吉野杉の燻製ナッツ」、燻製の香りと日本酒の香りがかなりマッチして、おいしい。止まらない。あと僕ね……ゆずが大好きなんですよ! この柚子の香りがする「ぶりのコンフィ」たまらん! お酒に合わないわけがない。優勝です。「奈良漬クリームチーズ」も、うめ~。奈良漬は僕の母の好物でよく食べていたんですけど、クリームチーズと相性いいんですね。これは新発見。お母さんに教えてあげよ(笑)

コロナ以前は大勢でワイワイと楽しむことも多かったけれど、こんな風にしっぽりとお酒と空間に酔いしれる飲み時間もまた一興。のんべえとして、また新しいお酒の楽しみ方を発見したゆめまるさん。おいしい日本酒とおつまみで、どんどん心が解放されていきます。

レストラン「ルアン」

こちらの宿では、客室だけでなく同施設内のレストラン「ルアン」でも奈良の酒を存分に楽しむことが出来ます。季節の日本酒と奈良の食材を存分に使った料理が堪能でき、宿泊者はもちろん昼と夜はレストランのみの利用も可能です。

地元ブランド肉「大和牛」や「大和豚」、米、奈良野菜など豊かな土地の恵みを蓄えた食材を使ったフレンチをベースに、酒粕や味噌、山椒など日本の調味料を融合させた料理を提供。「豊澤酒造」の日本酒を揃え、グラスで楽しむ日本酒や料理とのペアリングを提案してくれる、まさに日本酒づくしの食体験ができます。

◆レストラン ルアン
電話番号/0120-210-289(宿泊施設総合窓口11:00〜20:00)
営業時間/昼:11:30~15:00(LO14:00)、夜:17:30~22:00(LO20:00)
休み/不定休

究極のまったりタイム! ほろ酔いのまま……

客室内で日本酒を楽しむ際は、自分のお気に入りのおつまみを持ち込むのも良し。今回も、酒のお供「缶つま」を持参して日本酒のアテにしちゃいます! 日本酒と合うものを……ということで取り出したのは「缶つま 国産紅ズワイニほぐし肉酒蒸し」と「缶つま 国産 あなご蒲焼」。

ゆめまる)「缶つま 国産紅ズワイニほぐし肉酒蒸し」はカニの旨味がしっかりあって、日本酒のつまみに最適です! 酒蒸しだから、かすかに日本酒の香りを感じる……これはお酒がくいくい進んじゃいますね。「缶つま 国産 あなご蒲焼」は、身がしっかりしてます。ふわっふわの食感が残っていて、優しい味付け。ちょっと甘めだからしょっぱいつまみと交互に食べるといいかも。う〜ん、この食感は例えるとしたら、昔優しくて好きだった女の子に成人式で再会したら、相も変わらずフワッフワで優しかった……てとこですかね。あれ、僕なんかすべってる?(笑)

お酒もいい感じにまわり、ほろ酔い気分になってきたゆめまるさん。

縁側で涼んで酔い冷ましができるのも、自分のペースで飲める“おこもり飲み”、そしてこの宿ならでは。
 
ちなみに、ホテルの日本酒にまつわるサービスとして、お酒を作るときに出る搾りかす“酒粕”をボール状にした「酒粕ボール」を全客室の冷蔵庫に完備。客室備え付けの檜風呂に溶かして、酒粕風呂に浸かることもできるんです。

酒粕には保湿成分があり、湯上り後も体が温まった状態が長続きするといわれています。日本酒を飲んで、浸かって、食して……細部に至るまで行き届いた“酒蔵宿”ならではのサービスに、ゆめまるさんも大満足です。
 
ゆめまる)ちょっと僕、今回でおこもり飲みの極意知っちゃったかもしれないです! あちこち酒を飲み歩いてその土地を見て回る旅ももちろん好きですが、おこもりステイでもいろんな角度から旅の醍醐味をしっかりと叶えることが出来るんだな~って身をもって体感しました。眠くなってきちゃったな~、なんてときにはすぐ布団に入れるから、外飲みとはまた違う自由度もあるし。自分好みの宿を探したりするのも面白そうですね。なんて話してたらだんだん目が開かなくなってきた……。
 
ジャーン、このままベッドにダ〜イブ! って、おこもりのんべえ旅、最高かよ!(笑)

宿の中でその土地の酒を嗜み、食材を味わい、風土に触れる新しいカタチの飲み旅。まだまだ気の抜けない日々だからこそ、いつもと違ったお酒との過ごし方、飲み体験を見つけて楽しんでみませんか? 今まで知らなかった酒やその土地への魅力が見えてくるかも。未知の酒体験を求めて、ゆめまるさんの旅はまだまだ続きます!

本日の酒スポット「NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち」

日本酒発祥の地“奈良”で日本酒の魅力と古都の歴史を再発見するコンセプトホテル。1,300年の歴史を持つ世界文化遺産「元興寺」の旧境内の敷地にあった酒蔵を改装した空間と、奈良の味覚をふんだんに使用して日本酒とのマリアージュが堪能できるレストランを併設。奈良名物しか公園や春日大社、東大寺など観光スポットからもアクセスがよく、アクティブに奈良の町を楽しむ旅やホテル内の時間をゆったり楽しむステイなど、さまざまな旅の楽しみ方を提案しています。
 
◆NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち
住所/奈良県奈良市西城戸町4
電話番号/0120-210-289(宿泊施設総合窓口11:00〜20:00)
客室数/全8室

東海オンエアゆめまるの「のんべえ日記。」第7話-前編-
ソーシャルディスタンスが保てる酒蔵見学

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