酒のためならどこへでも!
東海オンエアゆめまるの「のんべえ日記。」第7話-後編-
人気動画クリエイター・東海オンエアのゆめまるさんが酒の魅力を追い求め、西へ東へ駆けまわる酒連載。外飲み楽しみ方が変化してきている今、安心安全な時間を提案する京都の新しい飲みスタイルに注目します。前編では日本酒の仕込みを窓越しに眺めつつ飲める酒蔵をご紹介。後編は、ユニークな出前サービスがある昼飲みスポットへ! 京都も酒もたっぷり堪能する、のんべえ旅の続きをどうぞ。
編集/石川葵 撮影/古根可南子 文/藤村実里(ホワイトノート)▶▶▶第7話―京都で見つけた新しい飲みスタイル―
伏見18蔵の銘酒がズラリ! のんべえ歓喜の酒テーマパーク
京都の新しい飲みスタイルを体験するために、後編も同じく伏見にある酒スポットを訪れます。やって来たのはここ、“日本酒”をテーマに構成される施設「伏水酒蔵小路(ふしみさかぐらこうじ)」です。
ゆめまる)酒のテーマパークだって! 行きましょ、行きましょ!!! ……っとその前に、忘れずに消毒シュっとね。
テンションが上がるのも、仕方なし! なぜならここは、伏見をはじめとする京都の120酒の日本酒が揃う場所。さらに8つの食の専門店が集合する、まさにのんべえ歓喜のスポットです。昼間から飲めるとあって、観光客だけでなく地元客にも愛され続けているのだとか。
ゆめまる)結構広いっすね。壁一面、めちゃめちゃいろんな酒蔵のロゴが並んでるよ!? え、これがここで全部飲めちゃうってこと!? すご!
伏水酒蔵小路内は、日本酒をがっつり満喫するための「酒蔵カウンター」を中心に、その周辺を取り囲むように“食の専門店”と呼ばれるさまざまなグルメ店が並んでいます。なんとここ、施設内の全店舗で「(店内)出前」ができるので、どのお店にいても他店舗の日本酒や料理をオーダーしてデリバリー形式で楽しむことが可能なんです(一部メニュー限定)。今はハシゴ酒は控えたい……でもあの店の酒も、あの店の味も食べたい! という気持ちを叶えてくれる、まさに新しい飲みスタイルを提供しています。
ゆめまる)伏見のお酒をたくさん扱っていると聞いたんですが……どうしよう、全部飲みたい(笑)
伏水酒蔵小路スタッフ・川岸さん)それならぜひ、当店人気の「十八蔵のきき酒セット」(2,430円)をお試しください!
ゆめまる)え、じゅうはち……!? 今、18って言いましたか?
川岸さん)はい! こちらです!
ゆめまる)なんじゃこれ~!!! 本当に18杯きちゃったよ(笑)
川岸さん)こちらは、伏見にある18の酒蔵の銘酒が味わえる飲み比べセットです。小グラスに入っているので、全部で大体2合分ほど。注文されるお客さんは、みなさん1時間ぐらいかけてゆっくりと堪能されていきますよ。
ゆめまる)たしかにこれは、ここに来たら絶対に注文したいですね! 3種とか4種とかの飲み比べはよく見るけど、18種とは……やるなぁ(笑) まずはどれから飲んだらいいとかありますか?
川岸さん)向かって左奥から順に右へ、そして上段から下段へと下っていく順番に飲んでみてください。食前酒として楽しめるものから徐々に辛口に、そして最後は大吟醸で締めていただけように並べています。前半は冷酒で味わうと特においしく感じられるもの、後半は常温でおいしく味わえるものを当店の利き酒師がセレクトしています。日本酒は温度によってもベストなタイミングがあるので、そのあたりもこだわらせていただきました。
まずは1~8を飲み比べ
1.「富翁 プルミエアムール 純米酒」/北川本家️
2.「大極上中汲 にごり主 本醸造」/増田德兵衛商店
3.「月桂冠 大吟醸」/月桂冠
4.「京姫 匠 純米吟醸」/京姫酒造
5.「英勲 古都千年 純米吟醸」/齊藤酒造
6.「玉乃光 備前雄町 純米大吟醸」️/玉乃光酒造
7.「古都の雫 純米大吟醸」/鶴正酒造
8.「慶長小判 純米吟醸」/平和酒造
ゆめまる)飲む順番も計算されているとは……! これは、のんべえの腕が鳴るな~。では早速、一番左奥の「富翁 プルミエアムール 純米酒」からいただきます。お、甘くておいしい。日本酒じゃないみたい、ほんと食前酒みたいですね。
川岸さん)こちらはワイン酵母を使用している日本酒で、ワインっぽい香りや甘みが楽しめます。ちなみに「プルミエアムール」は、フランス語で「初恋」という意味なんです。
ゆめまる)なるほどね~、初恋かぁ……わかるなぁ。(※「飲み旅本。」スタッフにテキトーですよね?とつっこまれて)すみません、テキトーにコメントしました(笑) でもあま~い、儚げな感じありますよ! これはマジ! ……それでは気を取り直して。2からもう一気に“THE日本酒”って感じ。舌の上でパチパチする。3は安定して飲めるな~。キンキンに冷えてるから超うまい!
川岸さん)2の「大極上中汲 にごり主 本醸造」は微発砲の日本酒です。増田德兵衛さんは、にごり酒発祥の酒蔵といわれていて、今では改良を重ねてスパークリングテイストのにごり酒を作られていますよ。
ゆめまる)4~6はなんだか香りが変化してきました。ふわっと香るやさしい系ですね。おつまみがなくてもスイスイ飲めちゃう。7からはだんだん個性的な味になってきた気がする! キャラ濃い奴ら登場してきたなって感じ。7の主張強めな味、結構好き。8はおつまみと一緒に飲みたくなる感じだな~。
川岸さん)おっしゃる通り、前半部分はお酒だけでおいしく味わえるもの、後半に行くにつれてどっしりとしたおつまみとも相性がいいように、日本酒の味も個性的になっていくんです。7の「古都の雫 純米大吟醸」の面白いところが、使用しているお米が非公開なんですよ。気になりますよね。
ゆめまる)へー! 企業秘密ってやつですね。お米の違いで日本酒も全然変わってきますもんね。お米の大切さは、今回の京都飲み旅で学びました。それにしてもすべて伏見のお酒なのに、同じ場所で作られているとは思えないほどみんな顔変えてきてます。
施設内のお店ならデリバリーし放題の「出前メニュー」
そろそろおつまみも……ということで、施設内であればどのお店にいても他店舗の料理をオーダーしてデリバリーできる「(店内)出前」を利用することに。出前メニューから、京都を感じる3品をチョイスしました。席を移動せずに、各店のこだわりを活かしたメニューが楽しめるとあって、ゆめまるさんの日本酒ペースも一気に加速! うまいもんとうまい酒の無限ループが止まりません。
右から時計回りに、「京赤地鶏の炭火焼き(たれ)/89丁目食堂」(980円)、「生麩田楽/京町茶屋」(748円)、「鯖寿司 炙り/きつや」(990円)。どれも日本酒と相性抜群なうえに、京の味や伝統的な食文化を感じられるメニュー。つまみを投入して、いざ後半戦へ。
ゆめまる)鯖寿司、うまーい! 脂が乗っていて、大葉も効いてます。これは酒が進みますよ。って、あれ……? 僕、今どこまで飲んでたっけ(笑)
続いて9~14を飲み比べ
9.「都鶴 純米吟醸」/都鶴酒造
10.「桃の滴 愛山 純米酒」/松本酒造
11.「魯山人 特別純米原酒」️/東山酒造
12.「特選 松竹梅 山田錦 特別純米 辛口」/宝酒造
13.「花洛 生酛 特別純米酒」/招德酒造
14.「上撰 銀閣 荒武者 普通酒」/キンシ正宗
ゆめまる)9番からでした。(9~14を無言でひと通り飲み比べて)あ、今日の一番お気に入り見つけちゃったかも! これ、13の「荒武者」!
川岸さん)「荒武者」は、冷えているときは水のようにスイスイ飲めるお酒ですが、常温に近付くにつれてキリリとした辛さが出てきて、くせ者になります。これぞ、伏見の辛口です。
ゆめまる)おぉ~カッコイイ。香り高くて味が強くて、僕の好みです。ひと口目で、これだ! って感じがありました。
ラストスパート! 15~18を飲み比べ
15.「豊祝 生原酒 普通酒」/豊澤本店
16.「神聖 濃醇 普通酒」/山本本家
17.「たれくち 無濾過生原酒 普通酒」/城陽酒造
18.「華祥風 大吟醸」/黄桜
ゆめまる)17の「たれくち」は、ガツンときますね。
川岸さん)アルコール度数は一番高い19度です。
ゆめまる)パンチあるけど、甘み強め。なんていうんだろう……ただの辛口じゃないですよ。これは例えるとすれば、「地元で有名な怖い先輩なんだけど、絡んだら実はめっちゃ優しかった……」みたいな。そんな人に出会った感覚です(笑) 18は、締めにふさわしい華やかな味わいですね。米の旨味たっぷり。
川岸さん)18の「華祥風 大吟醸」は、お祝いの席にもぴったりなお酒です。
ゆめまる)名前がまずめでたいし、味も華やかですもんね。それを18番目に持ってくるってのも、やっぱり計算されてるな~。ってか僕、これで18蔵全部制覇ですよね!? やったー! 遂にゴール! ちょっと最後に、炭水化物いってもいいですか? 気になってたんですよ。「酒粕ラーメン」ってやつ。
川岸さん)ありがとうございます! こちらはベースのラーメンに、お好みの酒粕を選んでブレンドする一風変わったラーメンです。酒粕は常時6種類あるんですが、軽いものから重ためのものまで、選ぶものによって全然味が違うんですよ。
ゆめまる)じゃあ、さっきいただいた「玉乃光」の酒粕にしてみよっかな。
ほろ酔い気分で待っていると、いい匂いがしてきました……。〆のラーメン、いただきます!
ゆめまる)くぅ~! 18杯制覇後のラーメン、最高! うまいっす! ほのかにお酒の香りがして、コクのあるスープ。まさに酒三昧ですね。
ゆっくり時間をかけて18蔵の日本酒を制覇したゆめまるさんは、どこか勇者のような貫禄。出前システムを活用して、京都の新しい飲みスタイルをたっぷりと満喫したようです。
旅気分を自宅でも。京都の飲み旅を思い出す酒土産
お酒もグルメもたらふくいただき、すっかりほろ酔い気分。最後に伏水酒蔵小路スタッフ・川岸さんから、のんべえにおすすめだというお土産スポットを教えてもらいました。
伏水酒蔵小路を出て裏手の商店街を1分ほど歩くと到着する、「伏水酒蔵小路」の系列ショップ「伏水酒蔵堂」。店内には、先ほど飲んだ18蔵の日本酒をはじめ、全部で120酒以上の日本酒が並びます。お酒のほかにも、酒器や酒粕飴、日本酒を使ったパック、京都土産などを購入することも。飲み比べでお気に入りのお酒を見つけたら、自宅用にこちらでお買い物をしていく人も多いんだとか。
ゆめまる)今日、久しぶりに外で飲んだんですけど、やっぱりまだ家飲みの時間が多いので、これを機に新しい酒器を買っちゃおうかなって。……これ、めっちゃかっこよくないですか!? 京都の作家さんの酒器だって! 買うわ!
酒器とお酒のセット(34,650円)と酒粕飴(550円)をご購入。京都の楽しい飲み旅気分を自宅に持ち帰りながら、今回の旅は終了です。
あちこちハシゴ酒をする楽しみは、しばしお預け。でも限られた場所だけでもお酒を満喫できる、そんな新しい飲みスタイルを京都で見つけました。愉快に酔う時間も、安心とともにあるからこそ! 存分に酒と向き合える、そんな新しい飲み旅をまだまだ求めて、ゆめまるさんの旅は続きます。さて、次はどんな酒との出会いが待っているのでしょうか。
―本日の酒場「伏水酒蔵小路」
伏見の日本酒とうまいもんの饗宴が堪能できる施設。店内には、23mを超える巨大なカウンターに、ずらりと並ぶ伏見酒造組合の18蔵の日本酒と常時120種類以上の日本酒銘柄が揃っています。お酒に合う食事は8店舗のうまいもん専門店へ。本格和食をはじめ、ラーメン、炭火焼、寿司、串カツなど多彩なジャンルの専門店が立ち並びます。各店に備置きの「出前メニュー」から日本酒や他店舗の料理をオーダーできるシステムも導入しているので、席を移動することなくその場で酒とうまいもんを贅沢に味わうことが可能。また、施設から徒歩約1分に位置する系列ショップ「伏水酒蔵堂」では、日本酒や日本酒にまつわるグッズ、京都土産など幅広い商品をゲットできます。
施設名/伏水酒蔵小路
住所/京都市伏見区納屋町115番地~京都市伏見区平野町82番地2
電話番号/075-601-2430
営業時間/11:30~23:00
定休日/火曜日※祝日の場合は翌水曜日
施設名/伏水酒蔵堂
住所/京都市伏見区納屋町141
電話番号/075-748-6080
営業時間/10:30~19:30
定休日/火曜日※祝日の場合は翌水曜日