鉄道タレント・木村裕子の
ほろ酔い飲み鉄紀行~しなの鉄道編~
あたたかい日も多くなり、そろそろ外へ出かけたくなる季節。木村さんも春の陽気に誘われて、お酒とおつまみをお供にふらっと長野までやってきました。飲み鉄の旅が始まります。
Photo/Kanako Furune Text/Kana Takahashiしなの鉄道 春のほろ酔い路線
長野市にある篠ノ井駅から軽井沢駅までを結ぶしなの鉄道線。今回は、上田駅をスタート地点に軽井沢駅へ向かって出発! お酒とおつまみと、春の景色を楽しみました。
しなの鉄道ってどんな路線?
長野県北部を通る鉄道路線。北佐久郡軽井沢町の軽井沢駅から長野市の篠ノ井駅を結ぶ「しなの鉄道線」と、長野市の長野駅と新潟県妙高市の妙高高原駅を結ぶ「北しなの線」があり、今回は「しなの鉄道線」を旅しました。この路線では、地元の足として親しまれている普通列車のほかに、軽井沢駅と長野駅間を結ぶ観光列車「ろくもん」が走ります。「ろくもん」では、長野県産の木材を使ったぬくもりのある空間で、信州の旬の幸や日本酒・ワインといったお酒が楽しめます。2020年7月からは、有料快速列車として、環境やバリアフリーなどに配慮しつつ、Wifiやコンセントが利用できる快適な新型車両を運行予定。
上田駅からSTART! まずは電車で1杯目
1杯目は、コンクールで多数入賞しているそば焼酎と、黒毛和牛脂を使ったコンビーフ。「コンビーフはジューシーで、がつんと男前な味! でも口当たりはまろやかで量もちょうどいいので、食べきれちゃいます。さすが長年愛されている味ですね」まさに男前女子にぴったりのおつまみのようです。「天山戸隠はすっきりと飲みやすいし、コンビーフの味が引き立って相性抜群です」
旅のお供はコレ
これもチェック!
途中下車おすすめスポット①小諸駅「停車場ガーデン」
駅から“0分”のガーデンで植物に癒されて
小諸駅前にある庭園。四季を通じてさまざまな花や植物が楽しめる、市民や観光客の憩いの場。来るのは2回目だという木村さんは、訪れるたびに変わる景色を堪能しました。園内には、庭園のゆったりとした雰囲気そのままのオシャレなカフェがあり、信州産の食材をつかった料理が味わえます。併設するショップでは、地元の物産やガーデニンググッズを販売。
住所/長野県小諸市相生町1-1-9
電話/0267-24-2525
停車場ガーデンで2杯目
「貝の一粒一粒が大きい! これ、本当に缶詰ですか?(笑) 歯ごたえもしっかりでうれしいです」そんな素材が生きたおつまみには、オシャレなボトルにアルコール度数40度の大根焼酎を。「大根の焼酎って初めて。まず香りが大根そのものだし、辛味大根のピリッとした感じも残っていますね。どちらもしっかりめの味なのに、不思議とお互いの味が引き立って、どんどんお酒が進んじゃいます」
旅のお供はコレ
途中下車おすすめスポット②「平原駅」
しなの鉄道色の駅舎がかわいい
小諸市にあるしなの鉄道線の無人駅。青とオレンジで構成されるしなの鉄道のコーポレートカラーが特徴的な駅舎は、貨物列車の車掌車を改造したものです。このような駅舎は北海道以外では珍しいそうで、「中の待合室もレトロで良いかんじ!」と木村さんは感動。周りは田んぼに囲まれていて、のどか。電車が来るまでの間、お酒を飲みながらぼーっとするのもいいかもしれません。
※許可を得て撮影を行っています。
住所/長野県小諸市大字平原603
平原駅で3杯目
「蓋を開けた瞬間の香ばしい香りにびっくり! 食欲をそそられました。甘いタレとピリ辛な薬味の味と、変化を楽しめるのもいいですね」
合わせて飲むのは「真田三代」。
「真田家ゆかりの地で飲む、というのが粋ですよね。味は、これぞ焼酎という感じ。王道のそば焼酎と王道のおつまみの素敵な組み合わせです」
お酒は飲む場所も大切。歴史に思いを馳せながら飲みましょう。
旅のお供はコレ
途中下車おすすめスポット③軽井沢駅「ろくもんラウンジ」
気品のある空間で優雅な時間を
観光列車「ろくもん」の乗客が過ごせるラウンジ。歴代の天皇皇后両陛下も訪れたことがある旧軽井沢駅貴賓室を水戸岡鋭治氏がリデザインした空間です。「ろくもん」の運行日以外は、一般客も100円で見学可能。「こんなに気軽に入れる貴賓室、ここだけですよ」とのこと。ほかにも駅構内には、ブランコや乗り物等がある「森の小リスキッズステーション」などがあり遊べる要素も満載。
住所/長野県北佐久郡軽井沢町大字軽井沢1178
電話/0267-42-6257
木村さんの飲み鉄ほろ酔いインタビュー
春の飲み鉄におすすめの旅程を考えてくれた木村さん。今回の旅のポイントをお聞きしました。
――春におすすめの飲み鉄を教えてください。
「春は鉄道会社のイベントも多いし、お花もキレイだし、飲み鉄にぴったりの季節ですよ。特にお花は、鉄道と切っても切れない関係なんです。昔は新しい路線や駅ができると、記念に桜を植えていたので、昔からある路線には、沿線で桜を楽しめるところがけっこうあります。明治時代から代々続くしなの鉄道も、小諸駅の辺りの桜がとってもキレイ。それから、ローカル線では今、お花に力を入れているところが多いみたいなんです。町おこしの一環として、冬から春にかけて使われていない畑にお花を植えるんですよ。だから、春はお花を目的にした飲み鉄をするのがおすすめです。お花を見ながら飲むお酒は格別ですよね」
――春のお出かけの定番、お花見。それは飲み鉄でも変わらないようです。ところで、数多くあるお花のキレイな路線の中で、しなの鉄道を選んだ理由とは?
「しなの鉄道って、都心から近くて日帰りでふらっと行けるのに、ローカル線の魅力をしっかり味わえるんですよ。それに、1時間に1~2本は電車が通っているので、たくさんの駅を降りて回れます。新幹線が通っている大きな駅も多いんですけど、そこまで混んでいるわけでもなく、穴場だと思いますよ!」
――具体的に見るべきポイントは?
「浅間山を望む景色は見てほしいです! 春でも山頂に雪がかぶっていて、とてもキレイなんですよ。あとは、歴史ある路線なので、新しいものと古いものの両方を楽しめるのも魅力の一つだと思います。例えば車両は古いものが多くて、ドアが手動なんです。そこも旅をしている感じが出て味わい深いですよね。一方で、今回行った停車場ガーデンは、2年前にできた新しい施設。お庭はとてもきれいに整備されていますし、カフェがとてもオシャレですよね。お花がキレイな5月くらいに行くのがおすすめです」
木村 裕子(きむら ゆうこ)
幼少期から鉄道が好きで、20歳の時JR東海で車内販売員に就く。2015年日本の鉄道全線完乗済み。著書に『女子鉄ひとりたび』(KKベストセラーズ)、『木村裕子の鉄道が100倍楽しくなる100鉄』(天夢人)。現在は名鉄カルチャースクールで講師も行う。