鉄道タレント・木村裕子の
ほろ酔い飲み鉄紀行~JR小海線編~①
春の心地良い風に誘われて鉄道タレントの木村裕子さんが高原列車の旅へ。今回もお酒とアテを片手に、揚々と飲み鉄へと出かけます。
Photo/MIZUAKI WAKAHARA Styling/MARI SHINODUKA Text/ASUMI HACHIYAお酒って鉄道と同じで、人と人をつなぐ魅力があるんですよね
「飲み旅本。」登場2回目で、今回も旅程を考えていただいた木村さんに、最近の飲み旅を尋ねてみました。
「この間、ファンの人たちとお座敷列車を貸し切ってツアーをしました。ほとんどがおひとり様での参加で、最初はなんとなくお互いに距離があるんですけど、持参したお酒を飲んでるうちに、だんだん打ち解けていくんですよ。最後は飲み仲間みたいになっていて『また飲もうね』っていうくらいに。私も一緒に飲んで、ファンの皆さんとの距離がずっと縮まりました。お酒って鉄道と同じで、人と人をつなぐ魅力があるんですよね」
その一方で、1人旅のときのお酒は、また違った一面があるとか。
「それこそ1日8時間くらい列車に乗ることもあるんですけど、ずっと1人なんです。そんなとき、自分との対話を促してくれるのがお酒です。人と人だけじゃなくて、自分自身との距離を縮めるという魅力もお酒にはあると思います。
あと、前回の飲み鉄以降ずっと考えていたんですけど、最近は女性一人でお酒をもって旅行にいくのがかっこいい時代になった気がします。『自立した女性』の象徴といってもいいかもしれません」
そんな木村さんに「飲み鉄」の楽しみ方を教えてもらいました。
「各地のカップ酒のラベルにはかわいいものがたくさんあるんです。列車でお酒とおつまみだけで、もう十分に写真映えするんですよ。本当は持って帰りたいくらいです。カップ酒のラベルがはがせるシールだったらいいのに (笑)」
今回木村さんが乗ったのは、「天空にいちばん近い列車」がコンセプトの観光列車「HIGH RAIL1375」。小海線の夜空や車窓を流れる八ヶ岳の山々をモチーフにデザインした外装や、四季の星々をあしらった座席などが乗る人をわくわくさせます。
「各地の鉄道に乗ってきましたが、この列車には驚きました。車内のプラネタリウムがかなり本格的なだけでなく、星空号の場合は、野辺山駅滞在時間中に『星空観察会』が開催されちゃうんですから(笑)。路線の特徴が活かされてるなあって思いました。それから、観光列車なのにシングルシートがあるから、女性のひとり旅にもうってつけですね。列車に乗ってるだけで、ご飯が食べられて景色が楽しめて、そしてお酒が飲めるなんて最高です。1日中楽しかったです!」
今回旅したのは「JR小海線」!
小海線は、山梨県北杜市の小淵沢駅と長野県小諸市の小諸駅を結ぶ全長78.9kmの路線です。高原列車として有名で、標高の高いJRの駅トップ10に9駅がランクイン。夏になると、避暑を求めて多くの人でにぎわいます。列車の窓からは右に左に流れる千曲川や、雄大な八ヶ岳連峰など、豪快な自然の景色を満喫できます。
また、環境に配慮したハイブリッド車両「こうみ」や、2017年デビューの観光列車「HIGH RAIL 1375」など、特徴的な顔ぶれの車両が走っており、「HIGH RAIL 1375」は時間により「HIGH RAIL 1号」「HIGH RAIL 2号」「HIGH RAIL 星空」の3列車が運行しています。18時台に小淵沢駅を出発する「HIGH RAIL 星空」では、約1時間の野辺山駅の滞在中に、小海線沿線の星空案内人による星空観察会が。観察会前には、車内で天文関連書籍を読んだり星空映像を見れたりする「ギャラリーHIGH RAIL」で星空上映会もあるので、星空観察会が更に楽しめますよ。
※各列車の運行本数、時間は季節によって異なります。
※星空観察会は、列車の遅れや天候不順などの理由で中止となる場合があります。
※星空上映会に参加するには整理券が必要です。小淵沢駅乗車時に列車の入り口で整理券をお取りください。
木村 裕子(きむら ゆうこ)
幼少期から鉄道が好きで、20歳の時JR東海で車内販売員に就く。2015年日本の鉄道全線完乗済み。著書に『女子鉄ひとりたび』(KKベストセラーズ)、『木村裕子の鉄道が100倍楽しくなる100鉄』(天夢人)。現在は名鉄カルチャースクールで講師も行う。